Re: Perlさんはどんな人なんだろう?

Perlさんはどんな人なんだろう? - 武蔵の日記Montana Perl - もしPerlが実際の人物だったらにつっこみをいただきました。ありがとうございます。原作者はPerlの慣習を踏まえて書いているので,Perlになじみのない方にとってはわかりづらいところが多かったかと思います。そこで,返信を兼ねて解説します。

まず以下のつっこみ

うーんと、でもちょっと二段落目が怪しい気がする。原文に typo があると思うし…そこらへんを翻訳ではごまかしているような気が。。。

二段落目は確かにちょっと自信がありませんでした。
なお,s/carrier/career/のtypoではないかということですが,私もcareerだと思いこんでいたのでそういう意味では問題ありません。まあ,あのタイミングで「はー かりーあ」という音が出てきたらcareerとしか読めないですね。

第二段落目第一文後半:

"regular way of expressing things" は「普段からはっきりと自分の考えを主張すること」ぐらいな意味になります。

原文のこの部分は,おそらく正規表現(regular expression)を示しています。つまり,正規表現を使うことによって手作業ではとてもできないような困難な仕事(i.e. "finding a needles in haystacks")を軽々とこなすことができるのですが,そのコードはしばしば非常に読みづらく「write only」と揶揄されるそうです。原文はこのような現実的側面を表現しているのだと思います。

そういうPerlの経歴(career)を踏まえたうえで,そのパラグラフの第一文があります。

第二段落目第一文前半:

She is extremely clever, very strict when it comes to how people treat to her ...

id:sirocco634

そこら辺を踏まえて、ちょっと訳してみると:

周囲の人がPerlのことをどう扱うかについてはとても厳格な女性だ ...

(略)
ただちょっと気になるのは、「周囲の人がPerlのことをどう扱うかについてはとても厳格な女性だ」という風に訳していますが、これがどういう意味かわかっていません。Perlって、"There's more than one way to do it." が標語のはずですよね?どんな風に扱っても、うまいこと Perl さんが対応してくれるんじゃないかなーと思っているんですが、間違えているのかな?(略)

正直にいうと,この部分の正確な意味はよくわかりません。直訳すれば, id:sirocco634 さんのようになると思います。しかしこの部分は,Perlerにとってはピンとくるものがあるのです。
Perlでは use strict; というディレクティブによって,プログラムの挙動を厳格にすることができるのです。具体的には,宣言のない変数と関数の使用が厳しく制限されるようになります。
したがって第一文は,この「人々がPerlに厳格に振る舞うに望むなら,Perlは厳格に振る舞う」ということを踏まえたものなのではないかと思います。

ついでに,他の部分もわかる限り解説しますね。

PerlはC, AWK, sed, shの影響が大きいのですが,原文の「父親」はおそらくCのことで,演算子の優先順位(おそらく "her father’s principles")など,多くの特徴を継承しています。「口数は少ないけどその内容はとても深い」というのは,コマンドラインからのワンライナーといった短いプログラムでできる仕事が多い,という特徴をよく現しています。

最愛の夫がCygwinなのはちょっと違うんじゃ…という気がします。「毎年夏になると,彼女は世界中を旅する」は世界中で行われるPerlカンファレンスYAPCを意味し,ラクダはPerlのシンボルです。ゴルフはコードゴルフでしょう。AcmeというのはCPANのジョークモジュール用名前空間で,たとえば任意のPerlスクリプトを実行可能なアスキーアートに変換するAcme::EyeDropsなどが有名です。

こうしてみると,短い文章に多くの仕込みがありますね。他の言語もその言語特有の慣習を踏まえているとすれば,私ではやはりPerlくらいしか訳せません。